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三池崇史監督が語る「実写化」の鉄則〈AERA〉

 日本を代表する映画監督であり、漫画実写化映画を多く世に送り出してきた三池崇史監督。今回挑んだのは『ジョジョの奇妙な冒険』。独特の世界観を持ち世界中で読まれている作品だ。

 原作者の方はみんな会ってみると面白いですが、ジョジョの荒木飛呂彦先生はとびきりすごい、伝説みたいな人。熱く語ることもあるし、根っこにはクールで冷静なものも持っている。「ジョジョ」は定めから逃げないというメッセージのこもった作品。だから僕たちも真っ正直に、逃げずにぶつかった。荒木先生は僕よりずっと多く映画を見ているので不安でしたが、楽しんでくださったと思います。

 実写化のハードルはいくつかあった。

 漫画のキャラクター通りに衣装や髪形を作り込み、十何回も試しました。あの衣装でキャラクターに扮(ふん)した俳優が出てくると、日常の中ではすごく浮いている。日本が舞台なのですが、このキャラクターが自然に登場し、自然に原作のセリフが言える空間を日本でつくるのは難しいと思いました。それで、スペインロケを決めた。バルセロナの路地から山崎賢人扮する東方仗助が出てきた時は、全然違和感がありませんでした。昔の日本でも見たことがあるような、塗りこめられた時間を感じる場所でした。

 キャラクターの生命力が作り出す「スタンド」の表現にも気を配った。スタンドはいわば本人の分身で、攻撃されると本人もダメージを受ける。

 原作では背景をイメージで描けますが、実写だとスタンドが戦う間も本人がどこにいるかを描く必要がある。ただ、スタンドの後ろで独りで本人がダメージを受けていると寂しいですよね。だから、戦うシーンでスタンドと本人が一緒に映るのはほんの一瞬にするなど、緩急をつけています。自分の中で「スタンドはこう表現すればいい」という整理はできましたね。

『忍たま乱太郎』から『土竜(もぐら)の唄』まで、実写映画化した漫画は幅広い。

 漫画というのは、最終的には漫画家が人生をかけて生み出した宝物ですよね。僕たちはそれを借りるわけですから、その原作の世界の一部、末端にちょっと存在するように作らなければいけない。原作者の方にそれを許してもらい、さらにエンターテインメントとして楽しんでもらえる、というのが理想です。映画監督としての自分のものづくりの信念、こだわりはむしろ邪魔。原作者のそれがすでにあるわけですから。原作者のこだわりと監督のこだわりがぶつかるところなんて、見たい人はあまりいないでしょう?

(構成/編集部・福井洋平)

※AERA 2017年8月7日号