エンタメGETsおまとめ お気に入り
追加
『ブレードランナー』続編は本当に“大コケ”と言われる映画なのか?

 SF映画の金字塔『ブレードランナー』(1982)の続編として先週末に全米公開された映画『ブレードランナー 2049』はボックスオフィスで初登場1位を獲得したにもかかわらず、本国メディアがこぞってチケットセールの不振や大コケと報じた。だが、出口調査による満足度で格付けを行うシネマスコアは「A-」をマーク。映画レビューサイト Rotten Tomatoes の観客評価も83%を獲得しており、劇場に足を運んだ観客のほとんどは、映画を評価している。果たして『ブレードランナー』続編は“大コケ”と言われる映画なのか?

【画像】刺激的なビジュアルはそのまま『ブレードランナー 2049』

 製作費1億5,000万ドル(約165億円)と見積もられている本作は、71%の観客が男性で、そのうち63%が35歳以上だったといい、アメリカの製作・配給を手掛ける米ワーナー・ブラザース国内配給部門のトップであるジェフ・ゴールドスタイン氏は Los Angeles Times に対して「私たちの想定よりも観客層の幅が狭かった」と語っている。

 しかし、その数値面でいえば、本作はすでに世界45か国で初登場1位を獲得。全世界興行収入は5,020万ドル(約55億2,200万円)を突破しており、イギリスでは週末で800万ドル(約8億8,000万円)をマーク。Box Office Mojo では、海外市場においては期待に応える結果としている。そもそも、空前のヒットとなった『アナと雪の女王』のように全年齢層に向けた作品ではないことは明白で、163分という上映時間を加味すればむしろ十分な成績でもあり、期待された数値に達しなかったから“大コケ”と言うことには違和感がある。

 実際のところ『ブレードランナー 2049』は、シリーズファンの期待に応えながら、SF映画としてもクオリティーが高く見応えのある作品になっている。前作につながるミステリーは物語の鍵をにぎることになるが、前作を観れば「さらに」楽しみが深まるように謎が仕込まれている。月並みな言い方かもしれないが、続編を観た後で前作を初めて観ても楽しめるよう作られている。刺激的なビジュアルと考え抜かれたミステリーは最後まで観客の興味を引き付け、163分間知的好奇心にあふれ、全く飽きることがない。作品の根底にある深いテーマ性は『ブレードランナー』を知り尽くしたドゥニ・ヴィルヌーヴ監督だからこそここまで描けたのだという匠の技を感じる。