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『コウノドリ』よりリアルな産科医療の現場を描く“勇気”

 夏ドラマで一番のヒット作となり、映画化も決定した『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』(フジテレビ)に続いて、秋ドラマも医療ものの『ドクターX ~外科医・大門未知子~』(テレビ朝日系)、金曜ドラマ『コウノドリ』(TBS系)が人気だ。なぜ、医療ドラマは人気があるのだろう? 『コウノドリ』を企画したTBSの鈴木早苗さんに取材する機会があったので、この疑問をぶつけてみた。鈴木さんの答えは、「個人の意見ですが、人間の根本の生きる、死ぬがテーマだからだと思います」というものだった。

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 自分の、身近な人の、あるいは見知らぬ人の「命」について感じたり、考えたりするのは、誰にとっても身近なこと。それは作り手側も同じで、人の生き死を扱っているということに、真摯(しんし)に向き合えば、おのずと作品のクオリティーは上がる。良質な作品ができてしかるべきなのかもしれない。

 医療ものといっても、今クールは、スーパードクターが「私、失敗しないので」と患者を救っていく、医者とはこうあるべきといった理想をエンターテインメントに昇華させた『ドクターX』と、よりリアルな産科医療の現場を描く『コウノドリ』と、描き方が対照的な2作品が揃い踏みだ。

 視聴率20%前後で推移する『ドクターX』は群を抜いているが、『コウノドリ』も前シリーズを上回る最高視聴率13.6%(11月3日放送の第4話)を記録し、第5話までの平均が約12.2%と好調だ(視聴率はビデオリサーチ調べ、関東地区)。

 『コウノドリ』は、鈴ノ木ユウ氏が描く同名医療漫画(講談社『モーニング』連載中)が原作。「命が誕生する奇跡」を描き、2015年に放送された前シリーズは最高視聴率12.6%、全10話平均約11.5%を記録し、放送終了後には続編を強く希望する声が寄せられた。こちらは、原作の世界観を忠実に再現し、かつ実際の病院で取材したことを反映させたリアルな描写が真骨頂。医師として、人間として、悩み、時に失敗もする、医療者たちの不完全な部分もさらけ出してドラマ化するのは、医療訴訟が増えているご時世で、なかなか勇気のいることでもある。

 前出の鈴木さんは「うれしいことも悲しいことも起きるノンフィクションを、どうやったらフィクションで描けるか、探りながらやっています。今クールの放送に向けては、1年前から医療関係者への取材など、準備をしてきました。医師たちからお話をうかがっていると、私たちが思っている以上に、毎日、現場で戦っているし、患者さんとの関係において失敗したり、傷ついたりしている。そんな医師たちが日々、何を思って仕事をしているか、前作以上にリアルな姿を少しでもお届けたい」と、熱い思いを語っていた。

 今回は、原作のエピソードをベースにオリジナルに取材した題材を加え、「命を授かる奇跡」を丁寧に描きつつ、医師たちの内面にフォーカスしたことで、群像劇としての見応えがいっそう増している。

 そう見えるのも、主演の綾野剛をはじめ、松岡茉優、吉田羊、坂口健太郎、星野源、大森南朋らメインキャストの熱演抜きには語れない。前作では、綾野が“連続ドラマ単独初主演”で、坂口が“連続ドラマ初出演”というフレッシュぶりだったが、揃いもそろって、この2年間に俳優としてさまざまな経験を積み、主演級俳優に成長して再集結したのだ。

 後半、「医師たちそれぞれに、ターニングポイントとなる出来事が起きてきて、群像劇がより色濃く描かれていきますので、お楽しみに」と鈴木さん。『コウノドリ』は毎週金曜、午後10時より放送。第6話(11月17日放送)では、研修医を終え、産婦人科の専門医として順調な成長を見せていた下屋(松岡)が、大きな壁にぶつかるエピソードが描かれる。